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公開されるというものである。行政側で公開できるものを判断するという考え方と、行政機関が保有する情報は特定の例外を除いて原則すべて公開されるべきであるものであるという考え方には180度の違いがあるが、情報の管理という観点からも大きな変化をもたらすものと考えられる。すなわち、公開基準が策定され、それによって情報の開示がなされる場合には、公開基準に記載した情報についてのみ開示請求に対応できるようにしておけば済んだが、新しい情報公開の考え方によると、不開示の基準に示された情報以外のすべてが開示対象になり、そのことは、各機関が組織的に用いるものとして保有している情報すべてを、開示請求に対応できるように管理しなければならないことを意味するのである。

情報公開法でいう「行政情報」の定義として、「行政機関の職員が組織的に用いるものとして保有しているもの」とされた点は、行政側にとって大きな課題になることは間違いない。この問題のポイントは、決裁過程のものは情報公開のそもそもの行政情報ではないという従来の考え方から大きく変化し、決裁過程のものであっても、または、補足的に添付されている参考資料やメモであっても、公文書と一緒にファイルされているものも、開示請求の対象になる点である。

 

(2)情報公開に伴う情報管理

新しい情報公開法が運用されると、従来とは異なり行政機関が保有している多くの情報が開示の対象となり、開示請求への対応に多くの労力が必要とされることは間違いない。このことは、各省庁は、情報の作成段階から、決裁、保存、廃棄の一連のプロセスを組織的、システム的に管理しなければならないことを意味する。閲覧用のリスト作成や複写請求への対応も、従来のような手作業べースでは困難になるおそれがある。新しい情報公開法の運用に対応するためには、以下のような事項を検討する必要があろう。

?@ 情報管理システムの構築

公文書作成、決裁、保存、廃棄という一連のプロセスを管理する情報管理システムを新たに構築する必要がある。現在、各省庁においてこの種の統合システムを運用しているところはない。従来、紙べースの文書管理がデジタル・データをべースとするコンピュータ処理とは別のものとして行われていた経緯がある。ワードプロセッサの普及によって、大半の公文書がデジタル情報として作成されるようになり、両者の区分が事実上なくなりつつある。1人1台のPCの配置が現実になりつつある中で、公

 

 

 

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